1979年生まれ埼玉県蕨市出身。
高校球児、女子プロ野球を観戦して4年。
現在FMラジオNACK5にて
番組パーソナリティを務めるなど活躍中。
プロ・アマチュア関係なく高校は
全国高等学校女子硬式野球選手権大会上位4校
大学は全国大学女子硬式野球選手権大会上位2校
クラブチームは
全日本女子硬式野球クラブ野球選手権大会上位2チームと
プロ上位3チームの合計11チームで
女子野球の頂点を目指す大会です。
初日からプロチームが2チーム破れる波乱の幕開け
女子野球ジャパンカップとはプロ、クラブチーム、大学、高校などの女子野球チームが一斉に集い、プロ3チームと厳しい予選を勝ち上がったアマチュア8チーム(クラブ2,大学2,高校4)がトーナメント形式で戦いその年の日本一を決める大会です。
今年で8回目を数え過去第1回のみアマチュアが優勝し、それ以降はプロが優勝。ここ4年に至ってはプロチーム同士が決勝戦に勝ち残る構図が続いています。そのためか今大会からプロvsアマの試合のみ同点の場合アマチュアチームが勝利というルールが導入されました。(昨年まではくじ引き抽選で決着)
この新たなルールとここまでの歴史を知ると『プロが勝って当然』そんな大会にも感じ、現に優勝は今年もプロチームの京都フローラが制覇しました。
ただ驚いたのは初日です。プロ3球団のうち勝ち上がったのは京都フローラのみ。
愛知ディオーネ、埼玉アストライアはまさかの初戦敗退と言う波乱が起きたのです。
今回から導入された『同点の場合アマチュアが勝つ』というルールが大きな肝になっていたと思います。野球は緻密で繊細なスポーツの代表作。同点の場合はプロ側からしたら既に1点のビハインドの状況。つまり負けからスタートする試合なのです。つまりアマチュアが1点先制するならば3点を取りに行く野球をしないといけない。プロになればなるほど緻密で繊細になるわけで、この新しく採用したルールが『プロの緻密さと繊細さを困惑させた』僕にはそう感じました。
1回戦を勝利したハナマウイの皆さんと
とはいえ、アマチュアチームの勢いはものすごかったです。
まず印象に残ったチームは創設2年目のクラブチームのハナマウイ。アロハシャツの様な明るいデザインのユニホーム、森監督の背中の名前はMoriでは無く何故かElvisと書いてあり、ハナマウイのエースが花ヶ崎選手で背番号が87(はな)でした。もはやマンガの世界ですよね。
元女子プロ野球選手も所属してまして、まさに『華のある野球』が印象に残りました。
ワンプレーワンプレーにムードがあって、連打が続くとお祭り野球化し完全にハナマウイ野球に着火する。短期決戦において一番の武器となる勢いを持ったチームでした。
声を出し続ける京都両洋高校ベンチ
プレーで印象に残ったチームは横浜隼人高校。とにかく走る。次の塁を狙う姿勢です。暴走と好走塁は紙一重だなんて言葉がありますが、横浜隼人高校は果敢に次の塁にチャレンジしていたのが素敵でした。野球にはセオリーという言葉があるのですが、走塁面はセオリーに該当するプレーがあまりないんです。攻守のセオリーを活発な走塁で崩せば女子野球ならではの新たな駆け引きか見つかるのでは?と思っていたので横浜隼人高校の果敢な走塁には未来を感じました!
京都フローラから2安打。来季女子プロ野球入りする履正社森淳奈選手
また高校野球ファンでもある僕にとって履正社高校のユニフォームを生で見れて大興奮でした!要所で履正社のOBであり、日本球界を代表するヤクルトスワローズの山田哲人選手の応援歌が流れるんです。野球好きにとってはただただたまらない瞬間です。そんな履正社高校は昨年のジャパンカップで準決勝まで勝ち進み、埼玉アストライアに惜敗を喫したものの大きなインパクトを残しました。今年も京都フローラとの一戦。
履正社高校の応援でにぎわうスタンド
フローラの勢いを止める事が出来ませんでしたが、セカンドの森淳奈選手は2安打を放ち見事アマチュアベストナインに選出されました。すでにプロ入りが決まっている選手なのでまた一つ来季の楽しみが増えました!
そして僕の地元埼玉からも一校、埼玉栄高校が出場しました!現在の男子野球部は黒の縦縞なんですが、僕が高校球児だった20年前は栄といえばオレンジのユニフォームがトレードマークでして、やっぱ埼玉栄はオレンジだよなぁーって思いつつ女子野球部に熱視線を送ってました。侍ジャパンのメンバー池本歩莉選手の外野のポジション取りが印象的で勘の鋭い選手だなと感じました。埼玉栄高校はこのジャパンカップ第一回の覇者で唯一のアマチュアの優勝チームなんですよね。今大会埼玉アストライア、尚美学園大学、埼玉栄と地元から3チームも出てたのが嬉しかったですし、いつかジャパンカップ決勝戦で埼玉対決が実現するのでは?と期待しています!
決勝戦直後に尚美学園大学の皆様と記念撮影
チーム内で流行っている某バラエティ番組に出る約束をしてしまいました。(頑張らねば!)
個のチカラとしてアマチュアで抜けていた尚美学園大学の2選手。初の決勝進出を果たし今大会準優勝の尚美学園大学のエース田中露朝(あきの)選手と山田優理選手です。
今大会の最優秀防御率のタイトルを獲得した田中選手は速球・変化球のキレは既に国内屈指で女子野球界を間違いなく引っ張れる逸材でした。
そして山田選手。恵まれた体型から繰り出す速球は国内女子野球最速の129kmを計測。日本人女子野球選手の130km越えの壁も夢ではありません。
何度も会場を沸かす豪快な打撃も魅力で俗にいう『ワクワクさせてくれる選手』でした。この2人がプロに入り別のチームで戦ったら...想像するだけでワクワクしますよね。
大会前、取材をするにあたって『プロのアマの差』と言うのを見極められたらと思って臨んだのですが、差を感じる前に来年10周年の女子プロ野球が辿ってきた道筋が女子野球全体のレベルの底上げに繋がっている事がハッキリわかりました。
決勝戦終了後、談笑する尚美学園大学のナインたち
埼玉から来ましたって言ったら笑顔で受け入れてくれました
(女子プロ野球リーグニュースサイト)
履正社橘田監督から女子野球界の今後をお聞きしました
プロとアマの差をお聞きしたら『上に上がれば上がるほど厳選されていく』と仰ってました。厳選...その言葉にとても考えさせられました。プロとしてのワンプレーワンプレーもそうですが、それ以外の人間性、野球人として選別され、まさに厳選された人だけが立てる舞台があるのだと思いました。
橘田監督はとてもユーモアな方で厳しさと優しさを兼ね備えた人格者だと感じました。
そんな橘田監督は『どうすれば女子野球がもっと拡がっていくか』をずっと問いただされていました。
女子プロ野球リーグ、ジャパンカップ、そして橘田監督をはじめ女子野球を愛してやまない方々の想いが女子野球を盛り上げていくはずです。
想いがあるからこそ一歩進みます。10年を迎える女子プロ野球や今回で8回目となったジャパンカップ、ワールドカップ連覇、その積み重ねがまた未来を変えていくのだと思いました。
初戦で敗れてしまったプロチームの選手やスタッフさんが翌日運営のお手伝いをしたり、球場付近のゴミ拾い等をされている姿を目の当たりにしました。
僕は昔からこの姿こそ女子プロ野球の凄さだと思ってまして、球場の至るところでプロの選手が笑顔で挨拶し、監督までスタッフジャンパー着て動き回ってました。
プロというのは野球が上手いだけでは残れない。
ひとりの人間として、それが誰かの見本に、誰かの人生に影響を与えていく職業だと思ってます。
今回、僕が一番強く再認識した事はそれで、勝ちの味も負けの味も知っているからこそ出来る事なのだと思いました。
勝っても笑顔、負けても笑顔、そんな姿を球場で体感する事で、僕らの様なファンは心を奪われまた球場に足を運ぶのだと思いました。
病になったら誰でも憂鬱になるだろう。
しかしここで落ち込んだら回復も遅くなる。
病という現実を観察して味わおう。
気持ちを常に前向きに持とう。
かの有名な正岡子規が残した言葉です。
正岡子規は野球に対して熱心な人物でした。
野球用語を漢字に変換した人物として有名で、野球殿堂入りも果たしている野球界おいて重要な人物でもあります。
僕は子供の頃から野球をやっていまして、今はほぼ見る側ですがプロ野球高校野球は欠かさず見ている人間です。
自分が子供の頃、何故野球には『死』や『殺』など物騒な言葉を使うんだろう?と疑問に思った事がありました。
後に正岡子規という人物が作ったと知りさらにその後に『病牀六尺』という言葉も知り脳みそがこんがらがった記憶があります。
死=アウト。
死の手前が病と考えた場合、アウトになる前のプレーがいかに前向きかいかに現実を観察できているのか
それが野球にとって大事なものなのでは?
だいぶ大人になってからですが、
僕はそう解釈する事で納得しました。
正岡子規の言葉通り。
落ち込まないで前向きに、プロチームを筆頭に、そんな姿勢が至るところで味わう事が出来た、身に沁みた3日間でした。
2019年は女子プロ野球10周年。
あの時会場にいた小さな女の子がプロのユニホームを着てまた球場のファンに夢を与える。
そんな未来のサイクルが少しずつ動いているんだなと思った大会でした。
引き続き僕は女子プロ野球を応援したいって思いました。